トレヴァー家 

 オズウェル・E・スペンサー卿の依頼で洋館の設計・建築を担当したジョージ・トレヴァーとその家族。彼ら3人こそ、t-ウイルスの最初の犠牲者である。
 洋館完成後、ジョージは口封じのため館に幽閉され力尽きた。妻子のほうは被験体として異なるタイプの始祖ウイルスを投与され、ジェシカは適応できず破棄処分に。
 一方リサは、心身異常をきたしつつも生き延び、実験体として何十年間も監禁生活を送ることになる。

【トレヴァー家関連年表   1962〜1998】
1962年 某日  ジョージ、洋館設計を承諾
1967年 某日  洋館完成。記念という名目で一家3人が招かれる
11月10日  先に到着したリサとジェシカ、始祖ウイルスを投与される
13日  ジョージ、洋館に幽閉される
14日  ジェシカ、破棄処分される
31日  ジョージ、洋館にて衰弱死
1988年 7月1日  興味深い被験体としてリサの身体調査がはじまる
1995年 7月31日  リサ、破棄処分される(記録上)

1998年 7月24日  洋館内外を徘徊するリサとS.T.A.R.Sが接触

トレヴァーの手記
 洋館の設計・建築を担当したジョージ・トレヴァーの手記。
依頼主であるスペンサー卿のさしがねで洋館に幽閉されたトレヴァーが、脱出しようとあがき、最期迎えるまでの様子が、日を追って克明に記されている。
 苦しみながらも妻と娘の無事を願う部分から、彼の家族への愛と、彼女たちを自分の巻き添えにしたことへの後悔が伝わってくる。

Nov.24.1967
この洋館にきて11日。どうしてこんなことになったのだ。
白衣の男が粗末な食事を運んで来て、私に言った。
「気の毒だが、機密保持のためだ。」
そうか・・・そういうことだったのか。
この洋館の秘密を知っているのは、スペンサー卿と私だけで、私が死ねば機密は彼ひとりのものになる。
だが・・・しかし、いったいなんのために・・・。いや、考えている暇はない。
このままでは、危険だ。それに、家族の無事も気になる。
私は脱出を試みる事にした。ジェシカ、 リサ、 無事でいてくれ。


Nov.26.1967
この暗闇でチャンスを待つのにライターを無くしたのは痛かった。妻が誕生日に贈ってくれたもので、大切に使っていたのに。

運命の日となった11月13日。
その三日前に、急病で倒れた叔母の見舞いに出掛けたという妻ジェシカと娘リサの姿がふと頭に浮かぶ。この瞬間、私の中で記憶が鮮明に蘇る。
「君の家族も今ごろは・・・。」
気を失う直前、白衣の男たちの誰かが言っていた。
・・・益々不安をかき立てられた。
彼女達が、この屋敷に私を尋ねて再び戻ってきていない事を願う。


Nov.27.1967
なんとか私は、あの部屋から出ることに成功した。
・・・だが、この洋館の外へ出るのは、容易ではない。全てのカラクリを解かなければ。
双眸の光を失った虎・・・。黄金のエンブレム・・・。


Nov.29.1967
出られない。どうしても館から出る事ができない。
ホルマリンに浸かった生物標本が並んだ不気味な研究室・・・、水の滴る陰気な洞窟・・・。
ああ! なんと言う事だ!! ・・・私は、発見してしまった。
見覚えのあるハイヒールが片方だけ廊下に転がっているのを!!
「ジェシカ!!」
妻も娘も私とおなじ運命を辿ったのか!?
・・・いや、ふたりともきっと生きている。


Nov.30.1967
のどが渇いた。もう何日も食事をしていない・・・。気が狂いそうだ。
なぜだ? なぜこんな死に方を・・・。
この館の異常な設計に、心を奪われた私が悪かったのか・・・。

Nov.31.1967
暗い・・・じめじめした地下道だ。ここも行き止まりか。
・・・いや・・・何かある。私は震える指で最後のマッチをこすった。
墓だ・・・
ああ、なんてことだ! そこに刻まれた名前は・・・、
「ジョージ・トレヴァー!!」
私ではないか!!
奴は最初から、私がここで息をひき取るのを計算し、墓を用意していたのだ。
それにまんまと乗るなんて・・・。
・・・もう駄目だ・・・、意識が遠のいて行く・・・。
ジェシカ・・・リサ・・・。私を許してくれ。
もうすぐだ。お前達を私のエゴの巻き添えにした事を許してくれ。
せめて、私の生命と引き換えに、お前達の安否を・・・
ジョージ・トレヴァー


ある家族の手記
 トレヴァーの一家3名がそれぞれどのような運命をたどったかを示すもの。
 洋館内外を徘徊し、S.T.R.A.Sと戦うこととなるリサ・トレヴァーの正体や外見、人の皮を被るようになった経緯などが文中からわかる。
 リサと接触した祭壇には石の棺がある。そのなかにジェシカの遺骨が入っていることをリサは嗅ぎつけたらしく、母に「会おう」としていたが、手の拘束具と、棺のフタについていた石の重りのせいで果たせずにいた。
 S.T.A.R..Sが石の重りをすべて落としてやるとリサは襲ってくるのをやめた。それは、棺のフタが開き、念願だった母との対面がかなったためであるからであろう。
リサが棺から、ジェシカのものとおぼしぎ頭蓋骨を拾い上げている姿をS.T.A.R.Sが確認している。

愛するリサへ
日に日に私が私で無くなっていく・・・。そんな感覚が確信に変わり始めています。
あの注射のおかげか、体のかゆみは幾分が収まってきたみたい。
今日も「栄養剤だ」と言われ、白衣の男たちに注射を打たれました。
注射をされると、意識がはっきりしてくる。意識が戻ってくると、何も考えられなくなっていた自分に気付いて、愕然としたの。
全てを忘れてしまう感覚に襲われ、あなたの事やあの人の事・・・、どんな性格で、どんな顔だったかすらも意識の闇に覆われてしまう。
ああ、リサ、私も今すぐでもあなたに会って、あなたを抱きしめて確かめたい。
そうしないと、あなたも、あの人も消えてしまいそうで、とても怖い。

・・・このままではダメね!  早く逃げ出さないと!
いい?  リサ  チャンスは多分、次に一緒にあの実験室に行く時!
二人して意識の無いフリをするの。
そしてあの白衣の男が隙を見せた時が逃げ出すチャンスよ!
外へ脱出したら、お父さんを一緒に探しましょう!
この手紙にあなたが気付いてくれます様に
Nov.13.1967

Nov.14.1967
注射で頭がボーっとする。
お母さんに会えない。どこかに連れていかれた。
二人で脱出しようって約束したのに私だけおいていくなんて・・・。

Nov.15.1967
お母さんみつけた!
今日の食事は、お母さんと一緒!  うれしかった。

違う、偽者だった。外は一緒だけど中が違う。
お母さんを取り返さなくさなくっちゃ!  お母さんに返してあげなくちゃ!

お母さんの顔は簡単に取り返せた。
お母さんの顔を取っていたおばさんの悲鳴が聞こえたけど、お母さんの顔をとったやつの悲鳴なんか気にしない。

お母さんは私のもの。誰にも取られないように私にくっつけておこう。
お母さんに会った時、顔が無いとかわいそうだもの。

Nov.17.19 7
石の箱の中  お母さん  匂い
ここ  お母さんがホント?
石の箱  かたくてイタイ
手のジャラジャラが邪魔をする
4つの石  つてるジャラジャラせで
お母さ  会えない

19
お父さん  一つ  くっつけた
お母さん  二つ  くっつけた
中身はやぱり赤く  ヌルヌル
白くてかたかた
ホントのお母さ  見つからない

お父 ん分からない
また お母さ 今日見つけた
お母さ をくつけたら
お母 ん動かなくなた
 母さんは悲鳴を上げていた
なぜ?
私は一緒に居たかただけ

4
お母さん
どこ?
会いたい